「リハビリ」｜みずたま介護ステーション

2023.03.08 お知らせ

「リハビリ」

　日本で良く使われる「リハビリ」の語源は　re「再び」　habilitate「適合させる」　だそうです。
その事は、まだリハビリという言葉も浸透していなかった時代に、それを仕事にされ論文なども書かれていたお客様から教わりました。　
　そのお客様は、風景や草花を写真にとる事がとても好きでしたが、大切な作品たちを置いてある二階には
もう一人では登れません。それどころか、もう自宅で生活する事には無理があると言われるくらい、
ご病気の影響によって日常的なトイレや食事といった行動も、一人では難しくなっていました。
　私はお風呂の手伝いをする事になったのですが、脱衣所まで移動する事も、浴槽への出入りをする事も難しいと考え、車いすでの移動と、お風呂用の車いすに乗り換えてシャワーだけでお風呂を済ませてはどうか、その方が安全だと提案しました。しかし、お客様は首を縦には振りませんでした。
　小さめの声で、とても柔らかい口調で、しかし固い意志を感じさせる話し方でした。
「私は、皆さんにご迷惑をお掛けしてしまう事も申し訳なく思うのですが、リハビリの仕事をしてきた経験から、自分で出来る事は継続していきたいんです。どこかにつかまっても、自力で歩きたい。お湯の入った浴槽への出入りも難しいがやりたい。それをやろうとすることがリハビリなんですよ。あれもこれも助けてもらって、道具を使ってしまってはダメだと思うんです」　そしてその横で、奥様が、その通り、とうなづきます。

　この「リハビリ」はお客様の身体を病気にかかる前の状態に戻すものではありませんでしたが
こう生きたいという思いを貫き、強い意志で実生活に「再び適合させ」ました。
　３年、私はお客様の家に週一回通いました。毎年夏が来ると、大汗をかきながら
お客様の思いに沿うような支援をさせていただいた事を思い出します。

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